タイの天然ゴム加工大手STA(シュリ・トラン・アグロインダストリー、証券コード:STA)の株価が3月27日の1取引日で7%急騰した。ブローカーのフィナンシア・サイラス証券は、天然ゴムの世界的な供給逼迫と3年ぶりの価格上昇サイクル入りを根拠に同社を「買い」推奨とした。
世界のゴム供給が逼迫する構造的要因
世界のゴム供給がタイトになっている背景には複数の要因が重なっている。主要産地であるタイ自身の生産量が年々減少していることが最大の要因だ。乾季の長期化と農家の高齢化で、ゴムの木からの採取量が低下している。
加えて、中東紛争による輸送コストの上昇と、タイ南部を中心とする一部農園での経済的理由による生産縮小が供給減に拍車をかけている。需要側では、中国・インドを中心とする自動車産業の回復が天然ゴム需要を押し上げている。
その結果、天然ゴムラテックス価格は1キログラムあたり72.6バーツへと37.8%上昇した。
STAの競争優位と業績見通し
STAはタイ証券取引所に上場するゴム加工の最大手で、タイ・マレーシア・インドネシアなど主要産地に調達拠点を持ち、ゴム手袋やタイヤ向け原料を世界約50カ国に輸出している。
フィナンシア・サイラス証券はSTAの2026年の販売目標を1.6万トンと設定している。同社が独自開発したスマートフォンアプリ「シュリートラン・フレンド」は、ゴム農家と直接つながる調達システムとして機能しており、価格上昇局面での原料確保を他社より効率的に行える強みがある。
タイゴム農家への恩恵
タイは世界最大の天然ゴム輸出国だ。年間生産量は約500万トンで、世界シェアの約35〜40%を占める。ゴム農家は全国に約170万世帯おり、タイ南部を中心に農村経済を支える基盤産業となっている。
燃料危機で農業コストが上昇するなか、ゴム価格の上昇は農家にとって数少ない朗報だ。ブローカーはゴム価格の上昇サイクルが3年程度続くと予測しており、農家の所得回復への期待感が株式市場にも波及した形となった。