エネルギー担当副首相のピパット氏は2026年3月下旬、「ガソリン・ディーゼルを深夜に値上げするやり方をやめるべき」と発言し、燃料価格発表方法の見直しを求めた。さらに中東紛争が長引けばディーゼルが1リットル50バーツに達する可能性があると警告した。同時に「今年のソンクラーン期間中はガソリンスタンドでの燃料不足は起きない」と強調した。
深夜の燃料価格発表は、「事前周知がなく市民が翌朝スタンドで値上がりを知る」という不満につながる問題として浮上していた。ピパット氏の発言はタイのエネルギー規制当局や石油会社に対し、より早期・透明な価格発表を求めるものだ。
「深夜値上げ」問題の背景には、石油会社が可能な限り在庫を高値で放出しようとする商慣行がある。タイのガソリン価格は原則として政府のエネルギー規制委員会(ERC)の指針を受けた上で、各石油会社が実際の販売価格を設定する「自由化・規制混在型」の仕組みだ。急騰局面では各社が出来るだけ遅いタイミングで発表することで「ツアーダウン(社会的非難)」を回避しようとする傾向がある。
「ディーゼル50バーツ」という数字はホルムズ海峡がほぼ封鎖された場合の想定値だ。2026年3月時点ですでに33〜48バーツ台に達していたことを考えると、50バーツは遠い数字ではない。ディーゼルはタイの農業機械・漁船・大型トラック・バスの大半が使う燃料であり、50バーツになれば農産物・生鮮食品・工業製品の全国的な価格上昇は避けられない。
タイ政府はディーゼルに対して「価格安定基金」から補助金を出す制度を持つが、原油高が長期化すれば財政負担が限界を超える。2024年のディーゼル補助金支出はすでに年間数百億バーツ規模に達していた。