タイだけではない。アジア全域が燃料危機に直面している。BBCが3月27日に報じたところによると、ホルムズ海峡を経由する石油・天然ガスへの依存度が約90%に達するアジア各国が、それぞれ異なるアプローチで緊急対策を打ち出している。
インドは燃料への特別物品税を引き下げた。ベンジン(ガソリン)は1リットルあたり4.5ルピーから3ルピーに、ディーゼルに至っては税率をゼロにした。世界最大級の石油輸入国であるインドにとって、原油価格の高騰は13億人の生活に直結する問題だ。
韓国はナフサの輸出を禁止した。ナフサは石油化学産業の基幹原料で、韓国の輸出産業を支える重要物資だ。国内供給を優先し、サプライチェーンの崩壊を防ぐ措置である。
ベトナムは燃料にかかる環境税を免除することで、ガソリン価格の抑制を図っている。日本は気候変動対策として進めてきた石炭火力発電の制限を一時的に撤回し、エネルギー安全保障を優先する方針に転じた。
各国の対応を並べると、タイの状況も見えてくる。タイ政府は石油基金による補助を段階的に縮小し、6バーツの一斉値上げに踏み切った。インドやベトナムのような大幅な減税措置には踏み込んでおらず、韓国のような輸出規制も現時点では導入していない。タイ政府が打ち出しているのは、B20ディーゼルの推奨や省エネキャンペーンといった「需要側」の対策が中心だ。
ホルムズ海峡への依存という構造的なリスクは、アジアに共通する課題だ。今回の危機は、エネルギー源の多様化と代替エネルギーへの転換がいかに急務であるかを、各国に突きつけている。
