電話詐欺を恐れて銀行に預金せず、自宅のガラス瓶に現金を隠していた76歳の退職教師が、20万バーツ超を盗まれた。犯人と疑われているのは、信頼して家の修理を任せていた元教え子だった。
ウドンターニー県に住むピヤラットさん(通称クルーティム、76歳)は元公立学校の教師だ。退職後、コールセンター詐欺の被害が相次いでいることを知り、銀行口座から引き出した現金をガラス瓶に入れて自宅に保管していた。「銀行に預けておくと詐欺師にだまされて送金させられる」という恐れからの判断だった。
異変に気づいたのは3月7日の朝。「お金がなくなる夢を見た」と目覚め、確認すると本当にガラス瓶から20万バーツ超の現金が消えていた。瓶だけが空のまま残されていた。
クルーティムさんが犯行を疑っているのは、自宅の修理業者として定期的に出入りしていた元教え子だ。教え子として信頼関係があり、家の鍵の場所や現金の保管場所を知りうる立場にあった。
被害届の提出は事件から20日後の3月27日だった。元教え子との関係があるだけに、通報するべきか長く迷ったという。「まさか自分の教え子にやられるとは思わなかった」とクルーティムさんは肩を落とした。
タイではコールセンター詐欺が社会問題となっており、高齢者が銀行口座から大金を引き出してだまし取られるケースが多発している。しかし詐欺を恐れて自宅に現金を置いた結果、今度は窃盗のリスクにさらされるという皮肉な事態だ。銀行のセキュリティ機能やSMS通知を活用し、口座を守る方が安全だという教訓を残す事件となった。