国家救急医療機構(สพฉ.)の事務局長・ピチェート氏は3月27日、燃料価格の急騰が救急車の出動コストを大幅に押し上げており、遠距離搬送の回数を減らさざるを得ない状況にあると明らかにした。ディーゼル価格が一時6バーツ値上がりしたことで、1回の出動にかかる燃料費が著しく増加している。
特に深刻なのが遠距離搬送だ。地方の救急ステーションから患者を都市部の大型病院へ搬送する場合、片道で数十キロから100キロ以上移動するケースもある。燃料費は基本的に各救急ステーションの自己負担であり、地方の小さなステーションほど財政的な打撃が大きい。「コスト増により、遠方への出動回数を減らさざるを得ない状況にある」という事務局長の発言は、燃料危機が人命救助の現場に直接影響していることを示している。
タイの国家救急医療機構は全国に救急ステーションのネットワークを持ち、民間ボランティア団体(มูลนิธิ)とも連携して24時間365日の緊急対応体制を維持している。ボランティア団体は寄付に依存しながら救急車を運営しており、燃料費の補助がなければ運行継続が困難になるケースもある。事務局長は政府に対し、救急車やレスキュー活動に使用する車両への燃料クーポンの支給を要請した。
ソンクラーン連休(4月13日から15日)は「7日間危険期間」と呼ばれ、交通事故が急増する時期だ。2025年末年始だけで1,500件超の事故が発生した記録がある。通常でも救急出動が増加する繁忙期に、燃料コスト問題が重なることで救急体制がひっ迫するリスクがある。
救急医療は命に直結するサービスであり、燃料費の問題を理由に出動を減らすことは本来あってはならない。しかし財政的な制約がある中では、搬送の優先順位付けや近隣施設への搬送先変更などの対応を迫られるケースが出てくる可能性がある。政府が救急・消防・レスキュー部門への緊急燃料補助を速やかに実施することが求められていた。