タイの学者や専門家が緊急討論会を開き、燃料価格高騰の根本原因はエネルギー価格構造の不透明さにあるとして、全面的な構造改革を求めた。PTT(タイ石油公社)の株式を政府が買い戻し、国営エネルギー企業として再編する提案も飛び出した。
ランシット大学のスリヤチャイ学部長は「現在の石油危機は氷山の一角にすぎない。エネルギー、食品、生活費と連鎖的な危機を招いている」と指摘し、政府の対応を「管理の失敗」と批判した。
エネルギー専門家は、1992年以降の価格構造に「謎の上乗せコスト」が含まれていると問題提起した。燃料価格が1バーツ上がるごとに、国民には年間約360億バーツの追加負担が生じるという。価格決定プロセスが不透明なまま、突然の値上げが繰り返されることが国民の不信感を強めている。
カセサート大学のチッタワン教授は踏み込んだ提案を行った。PTTの民営化方針を見直し、政府が株式を買い戻して国営エネルギー企業に再編することで、石油・天然ガス・再生可能エネルギーを一元管理する体制を構築すべきだとした。
学者からはほかにも、エネルギー緊急事態の宣言と不足時の輸出禁止、キャッサバやサトウキビからのエタノール生産の推進(ブラジルのフレックス燃料車モデルに倣う)、プラスチック廃棄物の熱分解による燃料化など、具体的な代替策が提示された。
タイのエネルギー政策は長年「構造問題」として指摘されながらも抜本的な改革に至っていない。燃料危機が国民生活を直撃するいま、学者の声が政策に反映されるかが問われている。