バンコク・バーンケン区の住宅街で2026年3月27日、34歳男性のアンポン氏が先祖のお供え物を隣家の敷地に置いたことに怒りを覚え、自宅の外に向けてピストルを空に向けて発砲した。近隣住民が警察に通報し、バーンケン署の捜査員と特別行動班が令状を取得して急行、9ミリ拳銃1丁と弾倉3本(弾薬入り)を押収してアンポン氏を逮捕した。アンポン氏は逮捕後「本当に怒っていたから撃った」と供述した。
バンコク都内で発砲事件が発生した場合、「武器弾薬法」違反と「公衆安全危害」の2罪で立件される。住宅地での発砲は周辺への流れ弾リスクがあり、最高で10年以上の懲役が科されうる重大な行為だ。
今回の発端は「お供えの配置をめぐる隣人トラブル」という日常的な近隣問題だ。タイでは先祖への供え物(เซ่นไหว้)を一定の時期に行う慣習があり、敷地境界に関する感覚が日本より曖昧なケースもある。些細なトラブルから激しい衝突に発展するケースが後を絶たず、「感情的なエスカレーション」が大きな問題だ。
タイでは民間の銃器保有が合法化されているため、銃の所持者数は東南アジアでトップクラスだ。タイ内務省の統計では民間登録銃器数は約650万丁(2024年)で、未登録銃器を加えると1000万丁を超えるとも推計される。これは人口1000人あたり約90〜100丁という高い水準で、生活上のトラブルが銃に発展するリスクが常にある。
都市部での近隣トラブルを非暴力的に解決するための調停制度は存在するが、利用率はまだ低い。法務省・地方自治体は紛争解決センターの整備を推進しているが、認知度向上と利用の促進が課題だ。