タイ国鉄は2026年4月のソンクラーン連休の帰省ラッシュに対応するため、北部線・東北線・南部線に臨時列車6本(計22運行)を増便すると発表した。しかし前売り券は全クラスで既に完売しており、鉄道への需要集中が燃料危機の影響を映し出した形だ。
増便スケジュールの詳細
往路は4月10日・11日・12日・14日・15日・16日に3列車(11運行)が設定された。復路は4月11日・13日・14日・15日・17日に3列車(11運行)が運行する。バンコクから地方への帰省需要と、連休後のUターン需要の双方をカバーする設定だ。
増便は通常の定期列車に加える形で運行され、主に北部(チェンマイ方面)、東北部(ウドンタニ・コンケン方面)、南部(スラタニー・ハジャイ方面)の3路線に重点が置かれた。
燃料危機で鉄道需要が急増
前売り券が完売に至った背景には、燃料危機による移動コストの変化がある。ガソホール95が41バーツ台に高騰し、往復1,000km以上の長距離帰省では燃料費だけで数千バーツの出費になる。鉄道の2等指定席はバンコク〜チェンマイで約900バーツ前後であり、車での帰省より割安になるケースが増えた。
航空会社も国内線運賃がソンクラーン期間に8,000バーツ台まで高騰しており、早期予約でないと手頃な選択肢がない状態だ。鉄道が割安な移動手段として再評価された形で、3月下旬には主要路線のチケットが売り切れた。
タイ国鉄の現状と課題
タイ国鉄(SRT)は全国に約4,000kmの路線網を持つが、老朽化した車両と整備不足のインフラが慢性的な問題だ。最高速度は特急でも120km/h程度にとどまり、バンコク〜チェンマイの所要時間は12〜14時間かかる。
現在、タイ政府は複数の鉄道整備事業を進めている。中タイ高速鉄道はバンコク〜ノーンカイ間の約600kmを結ぶ計画で、中国との合弁で建設中だ。また、バンコク近郊の二重化・電化工事も続いており、中期的な輸送力強化が期待される。
しかし現在の増便は既存の老朽車両を活用したもので、輸送能力の抜本的な増強にはならない。燃料危機が長期化すれば、鉄道需要の高止まりが続く可能性があり、早期の車両調達・整備が課題となる。