タイ証券取引所(SET)で、アルゴリズム取引(ロボットトレード)が出来高全体の48%を占めていることが明らかになった。人間のトレーダーによる取引はもはや過半数を割り込み、市場の性格が大きく変わりつつある。
象徴的な動きがTFG(Thai Factory Group)株で、ロボットトレードによる大量買いが集中して1日で8%の急騰を記録した。
ロボットトレードとは
ロボットトレードとはプログラムされたアルゴリズムが市場データをリアルタイムで分析し、ミリ秒単位で売買注文を繰り返す手法だ。短期の価格変動を捉えて利益を出す高頻度取引(HFT)として知られ、欧米の機関投資家やヘッジファンドが主に活用する。
タイでは「Program Trading(プログラム取引)」と呼ばれ、SETが開示している出来高統計のなかで別立てで集計されている。同日のSETデータでは、TFG株のプログラム取引額は270百万バーツで、自動マッチング取引全体480百万バーツの56%を占めた。TFG株は前日比8%高の8.70バーツで引けた。
個人投資家への影響
出来高の48%をアルゴリズムが占める状況は、個人投資家にとって不利な市場構造を生み出している。ニュースが出てから個人が注文を入れる頃には、すでにアルゴリズムが先回りして買い上がっているケースが増えており、「乗り遅れ」が常態化しつつある。
SETは小中規模の個人投資家の比率が高い市場として知られてきたが、機関投資家やアルゴリズムファンドの参入が急速に進んでいる。2020年代に入って外国のクオンツファンドがアジア新興市場への参入を加速させており、タイも例外ではない。
規制当局の動き
タイのSEC(証券取引委員会)はプログラム取引の透明性向上を課題として認識しており、異常な価格変動があった場合の調査権限を強化する方向で検討が進んでいる。マーケットメイキングと純粋な投機目的の取引を区別するための開示基準についても議論が続いている。
欧米では取引所が高頻度取引に対して速度制限やコロケーション規制を設けているが、アジア新興市場での規制整備はまだ途上にある。