3月26日早朝、スワンナプーム国際空港に集まった高齢者グループが異変に気づいた。予約していた中国・貴州省への観光ツアーの担当者が現れない。参加者たちは代金を全額前払いしており、グループ全体の被害額は約200万バーツ(約900万円)に上った。
被害者の大半は副裁判官(ผู้พิพากษาสมทบ)という肩書を持つ人々だった。法律のプロフェッショナルである裁判官たちがオンライン詐欺の被害者になったという事実は、国内外で大きな驚きを持って受け止められた。
詐欺師が接触したのはFacebookのページで、フォロワーが8,500人以上いたとされる。フォロワー数が一定以上あることで「信頼できる旅行会社」と誤認させ、事前決済という形で資金を回収した。価格は普通の旅行会社と変わらず、写真や説明文も本物らしく作り込まれており、専門知識のある法律家でも見破ることが難しい水準の巧妙さだった。
副裁判官(สมทบ)は、タイの司法制度で裁判長を補助する役職で、一般市民の中から選ばれる制度だ。職業上の慎重さや論理的思考が求められる立場にある人々でさえ被害に遭うという事実は、SNS詐欺の高度化を示している。「知識があれば騙されない」という思い込みが、むしろ油断を生んでいる可能性もある。
この被害はスワンナプーム空港から直接、中央消費者保護警察(ปคบ.)に向かって被害届を提出するという迅速な対応につながった。タイでは旅行詐欺は繰り返し発生しており、特にSNSで宣伝される格安・特別ツアーには、前払いを求める前に旅行業者登録番号を確認することが重要だ。
