タイ・カンボジア国境のスリン県トモルダー地区で、武装したカンボジア兵がタイ側に設置されたコンテナ・バリケードに接近する動画がSNSで拡散し、両国間の緊張が高まった。タイのインフルエンサー「ガン・チョンパラン」がFacebookに投稿した映像には、カンボジア兵が完全武装でコンテナ柵に近づき、タイ側の問いかけに「タイ語がわからない」とかわしている様子が映っている。
ガン氏はカンボジア側が許可なくバンカーや防御施設を建設していると主張した。コンテナ柵はタイ政府が国境管理強化のために設置したもので、カンボジア側からの不法越境・密輸を防ぐ役割がある。武装兵が柵に接近したことは、タイ側の主権を脅かす行為と受け取られた。
タイ・カンボジア間の国境紛争は歴史的に繰り返されてきた。プレアビヒア寺院(カオプラウィハーン)をめぐる領土争いが2000年代に大きな緊張を生んだほか、スリン県・シーサケート県・ウボンラーチャターニー県などの国境でも不法越境・密輸・土地問題が続いている。
タイ軍は今回の映像を受けて現場を確認し、外務省レベルでの申し入れを検討した。カンボジア側は「意図的な挑発ではない」との立場を示したとされるが、映像はSNSで数百万回再生され、タイ国内でカンボジアへの反感が高まった。
国境地帯は経済的に重要な地域でもあり、スリン・カブチューン・チョンチョムの国境交易点はタイ・カンボジア間の貿易の重要拠点だ。軍事的な緊張が高まれば、国境交易にも影響が出かねない。