ブリーラム県サトゥック郡でバキュームカー(し尿汲み取り車)を営むスティナン・ナークウィアン氏(69)は、燃料価格の6バーツ一斉値上げを受けて、汲み取り1回あたり50バーツの値上げに踏み切った。
それだけではない。これまで市街地や近隣の村を巡回して営業していたが、燃料費がかさむため巡回をやめ、自宅で顧客からの電話を待つスタイルに切り替えた。「走れば走るほど赤字になる。電話が来たら出動する方式に変えるしかない」と話す。
バキュームカーはタイの地方部で欠かせないインフラだ。下水道が整備されていない地域では、定期的な汲み取りがなければ衛生環境が悪化する。巡回営業の停止は、住民が自ら業者に連絡しなければならなくなることを意味し、特に高齢者にとっては負担が増える。
燃料危機の影響は、ガソリンスタンドや幹線道路だけでなく、地方の生活インフラにまで浸透している。大型ディーゼル車両を使うバキュームカーは燃料消費が大きく、値上げの影響を真っ先に受ける業種だ。
ブリーラム県はバンコクの北東約400kmに位置し、人口約160万人。サッカークラブ「ブリーラム・ユナイテッド」で知られるが、地方経済は農業が中心で、燃料費の上昇は住民の生活を直撃している。