タイの観光業が「危機の中の危機」に直面している。燃料高騰によるコスト急騰と、航空会社のフライト取消リスクという二重の打撃が迫っている。
ジェット燃料の価格が急騰し、航空会社の運航コストが大幅に増加している。一部の航空会社はすでに不採算路線の減便を検討しており、最悪の場合フライトの取消に踏み切る可能性がある。ホルムズ海峡の封鎖でジェット燃料の調達が困難になっていることが背景だ。
タイの観光業にとって航空路線の維持は生命線だ。年間約3,500万人の外国人観光客の大部分が航空便でタイを訪れる。路線が減れば観光客数に直結し、ホテル、レストラン、交通機関など観光関連産業全体に波及する。
地上の移動コストも上昇している。タクシー、レンタカー、長距離バスの燃料費が増え、観光客の移動コストが全般的に上がっている。ホテルも電気代の値上げ見通しを受けて、宿泊料金への転嫁を検討し始めている。
4月のソンクラン(タイ正月)は観光のピークシーズンだ。パタヤやプーケットなどのリゾート地では大規模な水かけ祭りが予定されているが、燃料不足で移動が制限される中、例年通りの観光客数を集められるかは不透明だ。プーケットでは水不足も報じられており、観光地としての魅力そのものが試されている。
タイ政府は観光を主要な外貨獲得手段と位置づけ、ビザ免除制度の拡大や空港の整備を進めてきた。しかし燃料危機という外的要因は、こうした努力を帳消しにしかねない。