タイの国家経済社会開発委員会(NESDB)のスパウット・サイチュア議長が、現在のエネルギー危機は最大2年間続く可能性があると警告した。発足したばかりのアヌティン第2次内閣に対し「三重の問題」への迅速な対応を求める発言だ。
スパウット議長が指摘する「三重の問題」とはエネルギー価格の高騰、それに伴う物価上昇、そして経済成長の鈍化だ。中東情勢は2026年に入っても改善の見通しが立たず、ホルムズ海峡の航行リスクが高止まりを続けている。タイは石油輸入の約60%をペルシャ湾地域からの調達に頼っており、代替調達先の切り替えには時間とコストがかかる。2年という見通しは、紛争が短期では収束しないという現実的な前提に基づいている。
アヌティン首相率いる第2次内閣は就任直後から燃料高対策を最優先に掲げ、石油基金の活用、燃料税の引き下げ、電気代補助など複数の手段を検討している。しかし財政的な余力は限られている。2022年のロシア・ウクライナ戦争時に大規模な燃料補助を実施した結果、石油基金には約490億バーツの累積赤字が残っており、同規模の支出を再び繰り返せる状況にはない。
NESDB議長は新内閣に対し、短期の価格補助だけでなく、エネルギー調達構造の多角化と省エネ推進という中長期の対応を同時に進めるよう求めた。再生可能エネルギーの活用拡大と、中東以外の産油国との関係強化がその核心だ。
国内ではディーゼルの給油制限、プレミアムガソリンの急騰、電気代の値上げ予告が続き、物価上昇による家計への圧迫が顕在化している。製造業や農業のコスト増も深刻で、輸出競争力にも影を落としている。タイ経済の成長率は2025〜2026年に2%台での推移が見込まれており、燃料危機が長期化すれば政府の財政と国民生活双方が消耗する事態となる。