タイの金市場で「パニック売り」が広がっている。金価格は1週間以上にわたって下落を続けており、利益確定を急ぐ投資家の売りが止まらない状態だ。
金は伝統的に有事の際に買われる「安全資産」とされてきた。中東紛争の激化でいったんは金価格が急騰したが、その後の急落は投資家心理の変化を映している。原油高騰や世界経済の先行き不安から現金化を急ぐ動きが強まり、金を含む資産の売りが加速した。
タイでは金は単なる投資商品ではなく、文化に深く根付いている。バンコクのヤワラート(中華街)には金取引店が並び、結婚式の贈り物や資産保全の手段として金を購入する習慣がある。タイの金はバーツ単位(約15.2グラム)で取引され、価格変動は庶民の資産に直結する。
金価格の下落が一時的な調整なのか、さらなる下落の始まりなのかは見通しが分かれる。中東情勢が好転すれば原油とともに金への投機マネーが引き上げられる可能性があり、逆に紛争が長期化すれば再び安全資産として買われる展開もありうる。
タイの金取引所や街の金店では、売却の列ができる一方で、安値を狙って買い向かう動きも出ている。金価格が大きく動くタイミングは、タイの金店にとっては売買手数料の収入が増える好機でもある。ヤワラートの金店街は連日にぎわいを見せている。