タイの電気代がさらに上昇する見通しとなった。中東戦争の長期化でLNG(液化天然ガス)の世界価格が高止まりしており、タイの発電コストに直撃している。タマサート大学の研究者は3月末に「国民は高い電気代に備えるべきだ」と警告し、4つの対策を提言した。
タイの発電構造とLNG依存
タイの発電はLNG比率が高く、全発電量の約6割をLNGに依存している。2026年3月の中東危機でホルムズ海峡の緊張が高まり、LNG輸送コストと現物価格が同時に急騰した。タイはLNGをカタール・マレーシア・オーストラリアなどから輸入しており、海上輸送コストの上昇が調達コストに直結する。
電力規制委員会(ERC)は5〜8月期の電気代を1単位あたり最高4.59バーツへの引き上げを検討していたが、LNG価格のさらなる高騰で「4.59バーツでも足りない」という状況に追い込まれつつある。
提言された4つの対策
タマサート大学の研究者が示した4つの対策は以下の通りだ。
まず国産ガス田の増産加速。タイ湾のエラワンおよびバンコク鉱区では生産量が低下しており、政府はシェブロンとタイナショナルオイルに生産拡大を求めている。
次に再生可能エネルギーの緊急導入。太陽光発電の設置費用は過去5年で70%以上下落しており、短期間での電力源分散が可能だという。
三つ目は省エネ設備への助成。エアコンや照明の省エネ化に補助金を出し、需要自体を減らす発想だ。
四つ目は電力料金の段階的据え置き。低所得者層への影響を緩和するため、使用量の少ない家庭には据え置き料金を維持する仕組みだ。
暑季との二重苦
エアコンをフル稼働させる暑季(3〜5月)に電気代が上昇するという二重苦がタイの家庭を直撃している。バンコクの1LDKマンションで月3,000〜5,000バーツかかっていた電気代が、値上げ後は6,000バーツを超えるケースも出てくる可能性がある。
日本でも2023年に政府補助が終了した後、電気代が大幅に上がった経緯がある。タイも同様の構図で、石油基金と電力補助の両方で「いつまで持たせられるか」が問われている。燃料高・電気代高・猛暑が重なるトリプルパンチが、暑季の生活を圧迫している。