中東紛争による原油急騰でプラスチック原料の石油化学製品価格が上昇し、PET(ポリエチレンテレフタレート)ペットボトルの買取価格がほぼ倍増した。ラチャブリー県バーンポン郡の古物商(ร้านของเก่า)では、買取価格の上昇を聞いた住民が続々とペットボトルを持ち込む姿が見られた。
価格はなぜ上がったのか
PETペットボトルの製造原料はエチレングリコールとテレフタル酸で、どちらも石油由来の石油化学製品だ。原油価格が上がるほど新品PETの製造コストが上昇し、リサイクル素材の市場価値が相対的に高まる。
今回の価格変動を説明した女性経営者のノンヌックさんによると、透明なPETボトル(飲料水・炭酸飲料用)の買取価格は1キログラムあたり5〜6バーツから8〜9バーツへと約60%上昇した。再溶融して新品同様の素材に戻せるため需要が高い。一方、着色プラスチックは溶融後でも色付きのため用途が限られ、価格上昇幅は小さかった。
タイのリサイクルエコノミーの実態
タイの古物商ネットワーク(ซาเล้ง、ร้านของเก่า)は都市・農村を問わず根付いた民間リサイクルシステムだ。廃品回収の行商人が自転車やバイクで各家庭を回り、ペットボトル・段ボール・空き缶・銅くずなどを買い取る。売り先は古物商で、そこからリサイクル業者に流れる。
このシステムは正式な統計には表れにくいインフォーマルエコノミーだが、低所得者の副収入源・ゴミ減量・資源循環に実質的に貢献している。高齢者や障害者が少額の現金収入を得る手段でもある。
燃料危機がリサイクル業界に「特需」
エネルギー危機は多くの産業に痛みをもたらしたが、リサイクル業界には逆風の中の追い風となった。廃プラスチック・廃鉄・廃銅はいずれも石油・金属価格の上昇と連動して買取価格が上がる傾向がある。危機が新たな「資源」の掘り起こしを促す皮肉な構図だ。
