タイの石油基金(กองทุนน้ำมันเชื้อเพลิง)の赤字が2兆8千億バーツ(約9,500億円)に達した。ディーゼルの小売価格は31.14バーツ/リットルまで上昇している。
石油基金はタイ独自の仕組みで、原油安の時に積み立て、原油高の時に放出して小売価格を安定させる「緩衝装置」だ。しかしイラン戦争による原油高が長期化し、基金の「貯金」が底をついただけでなく、巨額の赤字に転落した。
石油基金委員会(กบน.)はディーゼルを33バーツまで引き上げる必要があると表明しているが、現在の31.14バーツから33バーツへの引き上げは政治的に困難だ。船舶業界は3月30日の全国停船を通告しており、さらなる値上げは社会的な混乱を招く恐れがある。
日本のガソリン補助金は国の一般会計から拠出されるが、タイの石油基金は独立した基金として運営されている。基金に「限度」があるのがタイの特徴で、赤字が膨らめば値上げか増税しか選択肢がない。
2兆8千億バーツという赤字は、タイの年間国家予算の約8%に相当する巨額だ。この赤字をどう処理するかは、新政権の大きな課題となる。