バンコクの日常の足として親しまれるセンセープ運河水上バスが、ディーゼル価格が1リットル31バーツを7日間継続して超えた場合、運賃を1バーツ値上げできる契約条項を持つことが明らかになった。2026年3月時点でディーゼル価格がすでに31.14バーツに到達しており、最短5日以内に値上げが実施される可能性が出ている。
運賃値上げの仕組み
クロブクルア・カムソン(2002)社の社長、チャオワリット・メータヤプラパート氏が説明した内容によると、同社は国土交通省の海事局(กรมเจ้าท่า)との間で運賃調整の条件を取り決めている。具体的には「ディーゼル価格がリットルあたり31バーツを7日以上継続して超えた場合、海事局の承認なしに即時値上げが可能」という内容だ。
2026年3月23日時点でディーゼルが31バーツを超えてから2日が経過していた。このペースが続けば3月30日前後から値上げが実施される可能性がある。現行運賃は初乗り14バーツで、最長区間(プラトゥナームからミン・ブリ方面末端まで)は21バーツ。1バーツの値上げは小さく見えるが、毎日利用する通勤者への積み重ねは無視できない。
センセープ運河水上バスとは
センセープ(แสนแสบ)運河はバンコク東部を東西に貫く全長約20キロメートルの掘割運河だ。水上バスは早朝から夕方まで運行し、ラチャダムリ桟橋からミン・ブリ方面の桟橋まで約30の乗降ポイントを結ぶ。渋滞が深刻なバンコクの道路事情から、多くの通勤者や学生が利用している。
ただし運河の水質は良好とはいえず、船の往来で荒れた水面にゴミが浮くこともある。船の揺れと振動で乗客が水しぶきを浴びることもあり、白いシャツで通勤するオフィスワーカーには不向きとも言われる。それでも渋滞を避けられる実用的な交通手段として重宝されている。
燃料高が公共交通に与える影響
センセープ水上バスの値上げ観測は、タイの燃料危機が公共交通コストにも波及する兆候だ。2026年3月の時点でディーゼル価格が急騰し、バスや船だけでなく、鉄道・長距離バス各社も燃料コストの増大に頭を抱えていた。
タイでは公共交通機関の運賃改定に政府機関の承認が必要な場合が多く、燃料費の急上昇を即座に運賃に反映できない仕組みになっている。その結果、補助なしで事業を維持できないケースも出ており、サービス縮小や減便のリスクも指摘されている。
タイのバンコク都市圏では鉄道(BTS・MRT)の利用が増えているが、運河沿いに住む住民にとってセンセープ水上バスは代替手段の少ない重要な交通機関だ。燃料危機が続く限り、こうした生活インフラへの値上げ圧力は続く見込みだ。