タイ警察犯罪鎮圧センター(KBP、กองปราบปราม)は5月19日、北部ラムプーン県パーサーン郡で「カルマ修正師(อาจารย์แก้กรรม)」として地元で名の知られていた62歳の男、パイサーン容疑者を強制わいせつと未成年者誘拐の容疑で逮捕したと発表した。指揮を執ったのはKBPのパッタナーサック・ブッパスワン本部長(警察少将)で、現場はKBP第4分室室長のエカシット・パンシター警察大佐が担当した。
被害を訴え出ていたのは10代の男性2〜3人。容疑者の自宅兼修練所で性器を触られたり、口腔性交を強要されたりした、として警察に駆け込んでいたという。KBPは聞き取りと証拠固めを進め、刑事裁判所から逮捕状を取った上で、容疑者宅に踏み込んで身柄を確保した。現在も自宅内では追加の証拠を探す捜索が続いている。
容疑者の肩書きにある「アーチャーン・ケーガム」は、日本語にすると「カルマを直す先生」というニュアンスで、正規の僧侶ではなく在家で活動するカウンセラーに近い存在だ。業(カルマ)の解消、運勢の改善、お守りや儀式の手配などを請け負って、信奉者から相談料や奉納金を集める、というのがおおまかな商売の形になっている。タイではこうした人物がメディアにも露出することがあり、信奉者の層もそれなりに広い。
引っかかったのは、ここで被害に遭ったのが10代の男性だった、というところだ。「悩みを抱えて頼ってきた相手」「霊的な権威を持つと信じられていた相手」、その二重の構造の上で行われていたとしたら、被害の重さは数字以上のものになる。捜査チームが計画的に逮捕に踏み切ったあたりからは、案件の重さに対する当局の見方も透けて見える。
容疑者は今後、KBP本部での本格的な取り調べを受けることになる。「先生」と呼ばれていた人物の言い分が、これからどう崩れていくのか、その手順を黙って見届けたい。