タイ・スリン県プラサット郡から4月25日に失踪し、カンボジア側で拘束されていた58歳の「ウンクル・ヨート」氏が、2026年5月15日にタイへ送還されることが決まった。両国は地域国境委員会(RBC)の機構を通じて連携し、外交ルートで解決にこぎつけた。送還の場所はシーサケート県プースィン郡のチョンサニャム検問所、時間は同日午前10時の予定だ。タイとカンボジアの国境緊張が高まっていた中で、軍同士の地道なRBC交渉が成果を出した形だ。
カンボジア第4国境防衛軍副参謀長から正式打診
報道によると、5月14日午前11時、カンボジア第4国境防衛軍(ภท.4)副参謀長のニッド・ナロン少将が、カンボジア側RBC(Regional Border Committee、地域国境委員会)議長としてタイ第2軍管区にコンタクトを取り、ヨート氏のタイ送還を正式に申し入れた。事前にカンボジア第4国境防衛軍司令官がオダムミーチェイ県知事に書簡を送り、カンボジア内務省ルートで送還承認を取り付けていた。最終的にカンボジア側が送還に同意したのは、軍レベルの地道な交渉が積み重ねられた結果と言える。
送還ルート:チョンサニャム検問所、5/15午前10時
ヨート氏の送還は5月15日午前10時、シーサケート県プースィン郡にあるチョンサニャム検問所で行われる。送還には第2軍管区(タイ)と第4国境防衛軍(カンボジア)双方のRBC機構を活用、両国軍が密接に連携する姿勢を示す形だ。RBCは国境地域の不測の事態を防ぐために設けられた連絡協議の枠組みで、近年は両国間の小競り合いやドローン越境問題でも実務的に機能してきた。今回もRBCの実効性が改めて確認される事案となった。
4/25失踪、20日間のカンボジア拘束
ヨート氏はスリン県プラサット郡の住民で、森林資源を採取するためにタイ・カンボジア国境近くを行き来していた58歳。4月25日にチョンタリアン地点を超えてカンボジア側に入った後、行方が分からなくなった。5月10日時点では「カンボジア側で拘束」が確認され、タイ第2軍管区がカンボジア軍に解放交渉を続けていた。タイ側の家族・地元はSNSやマスコミに窮状を訴え、外交解決を望む声が高まっていた。
タイ・カンボジア国境の緊張緩和へ
タイ・カンボジア国境はここ数週間、複数の発砲事件・ドローン越境・国境緊張が続いていた。タイ陸軍報道官や副首相が「国境発砲は日常化、挑発狙い」と冷静対応を呼びかける一方で、カンボジア側は「全面否定」と応酬する場面もあった。ヨート氏の解放は、こうした緊張環境の中で軍レベルの実務協議が動いた成果で、両国の対話チャンネルがまだ機能していることを示すサインと受け止められている。スリン県・シーサケート県の在住者にとっては、国境往来時のリスク再認識のきっかけにもなる事件だ。