ブリーラム県国境地帯のゴム農家が、カンボジア兵による銃撃・拿捕の恐怖から、深夜のゴム採取をやめて夜明け前や昼間の作業に切り替えている。2026年5月12日時点での現地報告で、農家の深刻な不安が浮かび上がった。
ゴム採取の「夜明け前」シフト
ゴム農家にとって深夜から明け方のゴム採取は合理的だ。涼しい気温のほうが樹液(ゴムラテックス)の流れがよく、採取量が増えるためだ。しかしバーンクルワット郡(ブリーラム国境地帯)の農家たちは今、深夜の作業を避けて明け方や昼間にシフトしている。
「暗いうちに国境に近い場所に行くのが怖い。カンボジア兵に撃たれたり、連れ去られたりするかもしれない」というのが農家の一致した声だ。
最近の国境事件
この変化の背景には、2026年5月8日に起きた事件がある。ブリーラム国境付近の貯水池沿いで、カエルを捕まえに行ったタイ人たちがカンボジア兵10人以上に銃で威嚇されてバイクを捨てて逃げたというものだ。
さらにスリン県で、森に入った村人がカンボジア兵に拉致され、カンボジアのウドムミャイ省に連れ去られたまま解放されていないとの報告もある。
国家への要求
農家たちは「政府は何か手を打ってくれ。何もしないなら私たちはどうすればいいのか」と訴えている。具体的な要求として、国境地帯のパトロール強化、カンボジア側との外交的解決、農家への補償措置などが挙げられた。
タイ・カンボジア国境情勢
2026年に入ってタイとカンボジアの国境紛争が激化したことで、特にブリーラム・スリン・サケオ県といった東北部・東部の国境地帯では緊張が続いている。国境は農地が混在する複雑な地形で、実効支配ラインが曖昧な地点もある。
ゴムの農業生産はタイ東北部の重要な現金収入源で、1ヘクタールあたりの月収は数千バーツに相当する。農家がこの時期に採取を制限せざるを得ない状況は、地域経済への直接的な打撃だ。