【続報】タイ・ブリーラム県バーンクワット郡で5月8日夜にカンボジア兵に追跡され発砲された蛙取り住民2人が、5月10日に確信を込めて再証言した。元軍曹のアピラック氏(63)は「自分は元軍人で国境の状況を熟知している、相手は確実にカンボジア兵だった」と述べ、タイ陸軍報道官の「実際にはタイ人野菜採取者で誤認だった」とする説に強く反論した。
元軍曹のアピラック氏が断言「カンボジア兵で間違いない」
ブリーラム県バーンクワット郡プラサート町在住のアピラック氏(63)と、同行していたプラユーン氏(59)の2人は5月10日、地元住民の励ましを受けながら散髪して「厄落とし」をおこなった。その際の取材でアピラック氏は「タイ陸軍報道官の『誤解で、実際はカンボジア語の通じるタイ人野菜採取者だった』という説明には納得できない。自分は元軍曹(タハーンプラン)で、国境の状況を肌で知っている。相手はカンボジア兵だったと座っても寝ても断言できる」と述べた。
陸軍報道官の「誤認説」に反論、住民の信頼性
アピラック氏は陸軍報道官の発言が二転三転している点を厳しく批判し、「これでは住民も国民も陸軍を信頼できなくなる。現場の兵士は事実を知っているし、住民も分かっている」と語った。最初は「カンボジア兵による発砲」として捜査が進められたが、その後陸軍が「実は別のタイ人グループの誤認」と発表し直した経緯があり、住民側は「事実を曖昧化しようとしている」と感じている。
国境の言語事情、タイ語とカンボジア語の聞き分け
タイ語(特に東北部のクメール系方言)とカンボジア語(クメール語)は語彙が一部似ているが、発音とイントネーションが明確に異なる。アピラック氏は「言葉の調子が違う、ほぼ意思疎通できない」と説明し、地元住民が誤って同胞をカンボジア人と勘違いする可能性は低いと指摘した。元軍曹として国境警備を経験した立場からの主張で、説得力を持って受け止められている。
タイ・カンボジア国境の緊張、住民と政府の認識ギャップ
ブリーラムを含むタイ東北部の国境エリアは、世界遺産級の遺跡を巡る歴史的な国境争いの現場でもあり、近年も小規模な摩擦が散発する。住民の証言と陸軍報道官の発表に大きなギャップが生じる構図は、地元住民の安全感と国家の対外説明の優先順位が一致しない現実を示す。在タイ日本人駐在員にとっては、国境エリアの夜間移動は引き続き避けるのが安全策で、現地ガイドや治安部隊の同行を確保することが現実的な対策となる。