タイ特別捜査局(DSI)が、地方電力公社(PEA)副総裁を含む10人を違法ビットコインマイニング助長で国家汚職対策委員会(NACC、ПCH)に送致した。サムットサコン県とウタイタニ県で3,642台のマイニング機器を押収、損害額は30億バーツ(約147億円)超、ネットワーク内資金循環は50億バーツに達する規模だ。タイの公的機関を巻き込んだ組織的違法電力利用が浮き彫りになった。
タイDSIが違法BTCマイニング案件をNACCに送致、PEA副総裁含む10人
DSI局長のユッタナー・プレーダム警察少佐が5月8日、特別案件第6/2569号(6ファイル2,266枚)として送致を決定した。事案は内閣方針および司法省ルッタポン副大臣の指示を受けたもので、違法電力使用によるビットコイン採掘ネットワーク、特に政府関係者が関与している事案を集中的に摘発する流れの一環だ。今回はサムットサコン県とウタイタニ県を舞台にした違法BTCマイニング事案で、当時PEA副総裁の地位にあった人物を含む10人が立件対象となった。
サムットサコン・ウタイタニで3,642台押収、損害30億バーツ超
捜査の結果、両県の現場から3,642台のビットコイン採掘機(ASICマイナー)が押収された。これらの機器が違法に消費した電力をベースに換算した国家への損害額は30億バーツ(約147億円)超で、ネットワーク内で循環していた資金は50億バーツ(約245億円)に達する。タイのBTCマイニング事案としては最大級の規模で、組織的な電力盗用と公的機関関係者の関与が結びついた構図が浮かぶ。
PEA関係者が利益供与、職務怠慢罪と汚職罪を適用
10人の容疑者には、当時PEA副総裁だった人物が含まれる。捜査によると、容疑者らは違法マイニングの実行者から金品その他の利益を受け取り、便宜を図っていたとされる。適用される罪状は、政府機関職員の汚職罪(金品受領罪)と職務怠慢罪(職務上の不正な行為または不実施)の2点で、いずれも長期の懲役刑が科される重罪だ。送致先のNACC(国家汚職対策委員会)が今後の刑事手続きを担当する。
タイの違法BTCマイニング、地方電力供給を悪用した組織犯罪
タイの違法ビットコインマイニング事案は、地方電力公社の電力を不正に消費する手口が定型化している。電気料金が補助される産業区分や農業用契約を悪用したり、メーターを改ざんしたり、電力会社内部協力者と組んで使用量を隠蔽したりするケースが報告されている。今回の事案はその中でも公的機関の幹部までを巻き込んだ大規模事例で、タイの暗号通貨関連犯罪の深刻さを示す。在タイ日本人駐在員にとっては直接の影響は薄いが、現地で投資を検討する際にはタイの暗号通貨規制の動向に注視が必要だ。