タイ北部メーホンソン県のメーラー・ノイ郡を通る幹線道路108号線(メーラー・ノイ-メーホンソン区間)にあるメーラー・ルアン仮設橋(สะพานเบลีย์/ベイリー橋)が5月11日、急流による鉄砲水で中央の橋脚(ตอม่อ)が損傷した。この損傷で同橋の積載能力が低下し、当局は重量21トン超の車両の通行を全面禁止する措置を出した。雨季入り前の局地的気象で発生した事故で、北部山岳地帯の物流動線への影響が懸念される。
メーラー・ルアン仮設橋は、メーホンソン県内の主要動線を結ぶ重要なポイントの一つ。「ベイリー橋(Bailey Bridge)」は本格的な恒久橋ができるまでの期間、軍の工兵隊がプレハブ式に組み上げる仮設橋の一形態で、メーホンソン県のような山岳地帯では恒久橋の建設が困難なため、仮設橋として長期運用されるケースが多い。今回損傷したのは、同橋の中央付近の橋脚で、急流による土砂・流木の衝突が原因と見られる。
積載21トン超の車両通行禁止は、橋の総重量が大幅に低下したことを意味する。具体的にはトレーラー・大型コンテナ車・大型貨物トラックなどが対象となり、これらの車両は別ルートを使う必要がある。一方、乗用車・軽トラック・小型バスなどの21トン未満車両は引き続き通行可能だが、橋の状態を監視する必要がある。
この事故は、タイ気象局TMDが警告していた北部・東北部・南部の不安定気象パターンの一環として発生した。北部山岳地帯では、5月の雨季入り前後に局地的豪雨が頻発し、それが川の急流・鉄砲水・土砂崩れにつながるパターンが定着している。
同時期にラヨーン県プルアクデーン貯水池でも強風で3少年が深い水溝に落下、8歳が溺死、ペッチャブーン県では2日連続夏季嵐で電柱7本折損、シーラチャー区で建設中の鋼鉄倉庫が強風で倒壊するなど、5月の局地的気象由来の事故が連続している。
メーホンソン県は、タイ最北部に位置するミャンマー国境の山岳県で、観光地としては「コーン・モン族」「カレン族」などの少数民族村、ファラン洞窟、パイ温泉などが知られる。日本人観光客にも一定の人気があるが、雨季の道路状況は厳しく、108号線をはじめとする山岳道路は天候依存度が高い。
タイ北部への観光・出張を予定している駐在員は、メーホンソン県内の道路状況・橋梁状況を出発前に必ず確認することが必要だ。21トン未満の車両であっても、雨季の山岳道路は急な土砂崩れ・冠水・倒木リスクがあり、4WD車・余裕のある燃料・予備の食料・通信手段の確保が基本となる。