チョンブリ県シーラチャー区ノンカム地区で5月8日午後3時半、自動車内装部品の製造工場敷地内で建設中の倉庫の鋼鉄骨組みが強風で「ドミノ倒し」の連鎖崩壊を起こし、現場にいた建設作業員2人が頭部裂傷・顔面腫脹・全身擦過傷・意識喪失を伴う重傷を負った。骨組みに固定されていなかったため、突然の突風で全構造が倒壊した。タイの建設現場安全規制と気象警報の連動の脆弱性が改めて問われる事故となった。
事故現場はシーラチャー区ノンカム区Moo 1の自動車内装部品メーカーの敷地内(具体的な工場名は非公開)。建設中の倉庫の鋼鉄骨組みを4人の作業員が点検していた最中、急に強い風が吹き始めて状況が急速に悪化した。骨組みは仮設状態で、まだ十分な固定が施されていなかったため、強風で持ち上げられるようにして1か所が倒れ始め、ドミノ倒し方式で連鎖的に全体が崩壊する事態となった。
被災した2人の作業員は鋼鉄ビームと骨組みの下敷きとなり、頭部裂傷・顔面腫脹・全身擦過傷・意識喪失と血流が顔から溢れる重傷状態で発見された。残る2人の作業員は無事に逃げることができた。緊急救援隊が現場に駆けつけ、重傷者を地元病院に搬送して治療中。
地元当局は事故原因の徹底調査を開始しており、特に「適切な安全措置が事前に取られていたか」が捜査の焦点となる。タイの建設現場では、仮設骨組みの固定が完了するまで強風予報が出された場合の作業中断・避難プロトコルが法令上定められているが、現場での運用にバラつきがあるとされる。
直接の引き金は強風だが、この事故はより広い気象パターンと連動している。タイ気象局TMDが5月10日17時に発表した不安定気象警報第11号では、北部・東北部・南部に強風と大雨の継続が警告されていた。中部のチョンブリ県でも同様の風の不安定さが確認されており、今後数日間も同種のリスクは継続する見通し。
同時期にペッチャブーン県でも強風で大型ユーカリの木が倒れて電柱7本が折損、市の半分が停電する事故が発生した。タイの5月の不安定気象は、農業被害・建設現場事故・電力インフラ被害が複合的に発生する季節となる。
タイ在住の日本人駐在員には、シーラチャー周辺は日系自動車部品メーカーの集積地として馴染み深い場所だ。今回の事故は日本人会社員が直接関与する案件ではないものの、日系メーカーが委託する建設工事・倉庫拡張プロジェクトでも同様のリスクが潜在する。気象警報が出ている時期の屋外建設工事の進捗判断には、工程管理担当者として一段の慎重さが求められる。