バンコク・トゥウィーワッタナー区の幹線道路で5月10日正午、2人のフードデリバリー(ライダー)がホンダCR-Vに接触してバイクが転倒、滑走したまま走行中の路線バスの車体下に巻き込まれて即死した。死亡したのはピチット県出身32歳の女性ライダーと、ペッチャブーン県出身30歳の男性ライダー。
事案を扱ったのはタンマサラー警察署のアピワット・シンプル捜査官で、5月10日12時に「路線バスがバイクを轢き、負傷者と死者あり」との通報を受けて現場に向かった。場所はトゥウィーワッタナー区サラー・タムマソップ区のボロマラチャチョナーニー通り、プッタモントン市場前。同道路は急行レーンと並行レーンに分かれる構造で、事故は並行レーンの分岐部分で発生した。
被害者の一人、メーさん(32、ピチット県出身)はライダー服装で発見され、クリーム赤色の路線バス(プッタモントン2-パーフラート間運行)の左前輪に轢かれた状態だった。救助隊は遺体を取り出すために油圧切断機を使用。バスの左ドア部分には、もう一人の犠牲者コーンさん(30、ペッチャブーン県出身)が同じくライダー服装で意識不明で倒れているのを発見、救援隊が応急処置のうえカンチャナピセーク医療センターへ搬送したが、まもなく死亡が確認された。
警察は監視カメラ映像の解析を待っているが、初動の見立てでは、ライダーがホンダCR-Vに何らかの形で接触し、バランスを失って転倒。そのまま路上を滑走したライダーの体が、後方を走行していた路線バスの車体下に巻き込まれた構図と見られる。バスの後部にはCR-Vも停車しており、警察は3者の位置関係と速度差を慎重に裏取りしている。
タイのフードデリバリー(Grab、Lineman、Robinhood、Foodpanda)市場は急速に拡大しており、バンコク市内には数万人規模のライダーが日中夜を問わず走行している。報酬体系が「件数連動・配達時間制約あり」のため、信号無視・車線変更を含む危険運転がしばしば指摘されてきた。一方で、四輪ドライバー側のライダーへの配慮不足、急車線変更も事故の主要因として継続的に問題化している。
直近では5月9日にラチャブリでベンツがバイクの夫婦に突入する事故、5月8日にはランパーンで母子が居眠り追突死亡など、四輪・二輪の混在交通の脆弱さを示す事故が相次いでいる。
在タイ日本人にとって、Grab・Linemanのライダーは日常的に頼る存在だが、彼らの労働環境とリスクは深刻だ。配達時間が遅れた際にライダーを責めず、注文時に住所と連絡を正確に伝える等、利用者側の配慮が事故減少に間接的に寄与する側面もある。バンコクでバイクを運転する駐在員にとっても、車線変更時のサイドミラー確認、ライダーとの距離感の確保が改めて重要となる。