タイのスチャート天然資源環境大臣が、国会解散で廃案となっていた「清浄空気法案」を再び国会に上程する方針を確認した。民間人代表との協議で、農家・事業者・産業界への過度な影響を避けながら、PM2.5問題に実効的に対応する内容にする方針だ。北部チェンマイなど煙害が深刻な地域の住民にとっては、長く待たれていた法律枠組みとなる。
スチャート環境相、清浄空気法案を再び国会に上程する方針
スチャート・チョムクリン天然資源環境大臣は5月9日、清浄空気法案の起草に関わってきた元委員会の民間人代表団を環境省ビル20階で迎えた。代表はニサーナーター・ヨーターサムット氏、ティパーポーン・タンティスントーン氏、元上院議員プラサーン・マルクピタック氏ら。代表団は、解散で廃案となっていた法案を再び国会の審議過程に戻すよう求める意見を環境大臣に伝え、大臣は再上程の意向を確認した。
国会解散で廃案、民間代表との協議で再起動
タイの清浄空気法案は、これまで複数の政権で審議が進められたが、いずれも国会解散による任期終了や政治情勢の変化で完成しないまま終わってきた経緯がある。今回は環境省が主導して再上程する形を取り、民間人代表と密に連携することで、これまでの審議内容と民間からの意見を統合する取り組みに入る。代表団は環境大臣に「具体的な大気汚染対策に踏み出す機会だ」と謝意を伝えた。
国民の生活・職業・農家・事業者・産業への影響を考慮
スチャート大臣は記者団に対し、法案の中身については「すべての層、特に生活、職業、農家、事業者、産業界への影響を慎重に検討する」と強調した。タイの大気汚染の主要原因は、北部の野焼き、コラート高原での農地焼却、首都圏の自動車排気、工業地帯の排ガスなど多岐にわたる。一律の規制ではなく、業種・地域ごとに段階的な調整が求められる。大臣は「異なる意見の差を縮め、全員が受け入れられる均衡点を探る」と述べた。
PM2.5問題と在タイ日本人の関心、北部煙害シーズンと法整備
タイのPM2.5は3月から5月にかけて北部で深刻化し、チェンマイは世界の都市別大気汚染ランキングで常連のように上位に登場する。在タイ日本人駐在員家庭は空気清浄機を二重三重に動かすなど自衛策で凌いできたが、根本的な対策には立法レベルでの規制と執行力が欠かせない。先のサンカンペン郡の「葉っぱ卵交換マーケット」のような地域単位の取り組みと並行して、清浄空気法案による国全体の枠組みが整えば、北部の生活環境改善への現実的な進歩につながる。