タイのファン・スーアン医師がFacebookで、60代男性が片側の喉の違和感を1か月以上放置した結果、口腔がん(扁桃の扁平上皮がん)と診断された事例を共有した。患者は喫煙も飲酒もせず、家族歴もない健康な人物だったが、原因はHPV(ヒトパピローマウイルス)感染と推定された。喫煙飲酒なしでも口腔がんになるパターンが増えており、医師は早期受診の重要性を訴えている。
60代男性が喉違和感1か月後に口腔がん、扁桃の扁平上皮がんと判明
事例の患者は60歳代の男性で、片側(右側)の喉に鋭い痛みが続き、特に嚥下時に痛みを感じるようになった。当初は普通の風邪と思って様子を見ていたが、症状が1か月以上続いたため受診し、組織検査の結果「扁桃の扁平上皮がん(SCC)」と確定した。患者本人は「自分は喫煙も飲酒もしないし、家族にがん患者もいない。なぜ自分が」と大きな衝撃を受けたという。
喫煙・飲酒なし、家族歴なし—従来のリスク因子に当てはまらず
ファン・スーアン医師の解説によると、口腔がんは長らく喫煙、飲酒、ビンロウ(キンマ)噛みが3大リスク因子とされてきた。タイの北部・東北部の高齢者層ではビンロウ噛みの習慣が今も残り、口腔がんの発症と結びついた事例が多い。しかし今回の患者はこれらの要因に一切当てはまらず、従来のリスク評価では見逃される可能性のあるパターンだった。
HPV由来の口腔・咽頭がんが増加、欧米では新規の60〜70%
医師は、喫煙飲酒に関係しない口腔・咽頭がんの増加要因としてHPV(ヒトパピローマウイルス)感染を挙げた。欧米諸国では、新規の口腔・咽頭がん患者の60〜70%がHPV由来と報告されている。HPVは性感染症としても知られ、子宮頸がんワクチンとして広く知られているが、男性の口腔・咽頭領域でもがん化に関与する。タイでも近年、HPV由来とみられる口腔がんの報告が増えており、医師は「片側の喉痛が1か月以上続く、嚥下に違和感がある、口腔内の腫れが消えない場合は組織検査を急ぐべき」と警告している。
在タイ日本人にも警告、初期は風邪と区別困難—早期受診の判断基準
口腔・咽頭がんの初期症状は風邪との区別が難しいが、(1)痛みが片側だけ、(2)1〜2週間で改善しない、(3)発熱を伴わない、(4)リンパ節の腫れが続く、といった点があれば検査の対象になる。在タイ日本人駐在員家庭では、バンコクの大手病院(バムルンラート、サミティベート、BNHなど)に日本語対応窓口があり、組織検査・画像診断を比較的迅速に受けられる。「ただの風邪」と決めつけずに、症状の継続期間と特徴を観察し、必要な時に病院へ行く判断が早期発見の鍵となる。