中国福建省の女性が、大きなドリアン2片を食べた後に白ワイン約200ミリリットルを飲み、呼吸不全で救急搬送される事案が報じられた。診断は「ジスルフィラム様反応」による呼吸不全で、血中酸素は一時78%まで低下した。タイは世界有数のドリアン産地で、駐在員家庭でも頻繁に食卓に上る果物だけに、酒との組み合わせには明確な医学的リスクがある。
中国福建省の女性、ドリアン2片+ワイン200mlで救急搬送
事案は5月8日に中国メディアが報じた。福建省の女性が友人とドリアンを楽しむ集まりで、大きなドリアン2片を食べた直後に白ワインを約200ミリリットル飲んだ。しばらくすると首と顔が異常に赤くなり、全身に蕁麻疹のような発疹が広がった。病院に搬送された時点では、胸部圧迫感、呼吸困難、軽度の意識混濁が見られ、血中酸素飽和度は一時的に78%まで下がっていた。
血中酸素78%、ジスルフィラム様反応で呼吸不全
医師の診断は「ジスルフィラム様反応(Disulfiram-like reaction)」による呼吸不全だ。ジスルフィラム様反応とは本来、アルコール依存症治療薬を飲んでいる人がアルコールを摂取すると現れる重い副作用で、強い顔面紅潮、頭痛、動悸、嘔吐、呼吸困難などが特徴とされる。今回のケースでは、ドリアン中の成分がジスルフィラムと同じ作用を引き起こしたとみられる。
ドリアンの硫黄化合物がアルコール代謝を阻害、致死リスクも
医学的なメカニズムは比較的明確だ。ドリアンには複数の硫黄化合物が含まれており、これが肝臓のアルデヒドデヒドロゲナーゼという酵素を阻害する。同酵素はアルコール代謝の途中で生じる毒性物質「アセトアルデヒド」を分解する役割を担う。酵素が阻害されるとアセトアルデヒドが体内に蓄積し、不整脈、呼吸不全、循環不全を引き起こし、重症化すると死に至る恐れもある。これが「ドリアンと酒は一緒に摂るな」という長年の警告の医学的根拠だ。
タイの食卓で日常のドリアンと酒、在タイ日本人にも警告
タイは世界最大級のドリアン産地で、5〜8月の旬には市場や屋台で安価なドリアンが大量に並ぶ。バンコクの飲食店ではビュッフェ形式でドリアンが食べ放題のところもあり、酒とともに楽しむ場面が日常的にある。在タイ日本人駐在員にとっても、出張帰りや週末の食事会でドリアンと酒を組み合わせる機会は多い。今回の中国福建省の事案は致死的になりうるリスクを示しており、ドリアンを食べた当日にはアルコール、特に蒸留酒や強いワインを控える判断が現実的だ。心臓・肝臓・呼吸器に持病がある人は特に厳格に避けるべきで、年配の駐在員家庭では家族で共有しておきたい知識といえる。