タイ・ナコンラチャシマ(コラート)県カムサケーセン郡で2026年5月7日、地元の飲料水「アポ(อาโป)」ブランドの製品からサルモネラ菌(Salmonella spp.)が検出されたことが発表され、製造停止と市場からの即時回収が命じられた。第9医療科学センターでの検査結果に基づくもので、原因は逆浸透(RO)装置でフィルター処理されたタンクの残水を再使用したことと推定される。
5/7発表 アポ飲料水からサルモネラ菌検出
ナコンラチャシマ保健所が定期的な飲料水の品質検査の中で問題を発見した。検査対象となったのはカムサケーセン郡内で流通する「アポ」ブランドの飲料水で、第9医療科学センター・ナコンラチャシマで詳細分析を実施したところ、100ミリリットル中にサルモネラ菌が検出された。これは食品衛生法の定める基準値を明確に超過する数値。
サルモネラ菌は腹痛、下痢、発熱、嘔吐などを引き起こす病原性細菌で、軽症で済む場合もあるが、高齢者、幼児、免疫力低下者では重症化する危険性がある。タイの公衆衛生当局は、消費者に対し購入・飲用を即座に中止するよう呼びかけている。
製造日3/26、容量18.9Lボトル製品の即時回収
問題が確認された具体的な製品は、食品登録番号30-2-03760-2-0001、製造日2026年3月26日、容量18.9リットルのボトル詰めアポ飲料水。タイの一般家庭や事業所で広く使われる18.9Lの大容量タイプで、飲料水ディスペンサーやウォーターサーバー用途として流通している。
保健所は流通業者・小売店に対し、当該製造日のロット製品を全て店頭から撤去するよう命令。消費者で既に購入済みの世帯には、飲用を停止し処分するよう告知が出された。事業者はタイ食品法第25条第3項違反、第60条の罰則(罰金最大5万バーツ)の対象となる。
原因: RO装置のフィルター済みタンク残水の再使用
調査の結果、汚染の原因は製造工程にあると推定された。具体的には、逆浸透(Reverse Osmosis、RO)装置でフィルター処理した水を、装置のタンク内に長時間溜めた状態で残し、新しい仕込みでその「タンク残水」を再使用したこと。
ROフィルター自体は微生物を除去する能力があるが、フィルター後の貯水タンクで時間が経過するとサルモネラ菌などの細菌が再増殖する可能性がある。製造工程での「フィルター後即時ボトリング」「タンク内の定期消毒」「残水の廃棄ルール」が徹底されていない場合、今回のような汚染事故が発生する。
在タイ日本人と食品衛生注意点
在タイ日本人駐在員と長期滞在者の家庭では、ウォーターサーバーや18.9Lボトル飲料水を日常的に利用するケースが多い。コラート県周辺の事業者・住宅で「アポ」ブランドを使用している場合、すぐに使用停止と問い合わせが必要となる。
タイの飲料水は「ボトル水だから安全」という認識が根強いが、地方の小規模製造業者では衛生管理の水準にばらつきがある。大手ブランド(SiPharm、Crystal、Singha Drinking Water等)を選ぶ、定期的にラベルの製造日と賞味期限を確認する、ボトルの密封状態を確認する、といった基本的なチェックが、こうした事故の被害を未然に防ぐ最も確実な方法となる。