タイの動物病院がSNSで発した警告が、ペットの飼い主に大きな反響を呼んでいる。高齢の飼い主が「猫がぐったりしているから」と人間用のパラセタモールを1錠与え、命に関わる事態になった事例だ。獣医は「犬や猫はこの薬を体内で無毒化できない、特に猫には致命的」と強く注意を呼びかけている。
動物病院がSNS警告、高齢飼い主が大人用パラセタモールを猫に投与
警告を出したのはタイの動物病院「バーン・サット・イーム動物病院」のFacebookページだ。投稿によると、ある飼い主が自宅で飼っていた猫の様子がいつもと違いぐったりしているのを見て、人間用のパラセタモール(解熱鎮痛薬)を1錠口に入れてやったという。しばらくして異変はさらに進み、慌てて病院に連れ込まれた。同病院は今回の事例について「飼い主は高齢で、本当に知らなかった」と公表し、犬猫にパラセタモールを与える危険性を広く知ってもらうために投稿に踏み切った。
犬猫はパラセタモールを無毒化できない、症状と致死リスク
獣医によると、犬と猫は人間と違ってパラセタモールを肝臓で安全な物質に変換する代謝経路が十分に働かない。とくに猫は犬よりも感受性が高く、ごく少量でも中毒症状を起こす。投稿では中毒症状として、倦怠感、嘔吐、顔と肉球が腫れる、歯茎が紫色になる、呼吸困難、ハアハアと荒い呼吸、血液が茶色く変色する、肝不全といった症状が列挙されていた。大量に摂取した場合は短時間で死に至るとされる。
在タイ日本人にも他人事ではない、人間用薬の家庭ストックに注意
パラセタモール(タイ語ではヤーパラ)はタイの薬局で50バーツ前後で買える解熱鎮痛薬で、各家庭に常備薬として転がっていることが多い。日本でも市販薬の主要成分としてアセトアミノフェン名で広く流通しており、頭痛や生理痛で使う人も少なくない。「人間が飲んで安全だから動物にも少量なら大丈夫」という素人判断こそが今回のような事故を招く。在タイ日本人で猫や犬を飼っているケースでは、家庭内の薬が誤って与えられないよう保管場所を分ける配慮が欠かせない。
自己判断は禁物、異変があれば必ず獣医へ
獣医は「ペットの様子がおかしいときに自己判断で人間用の薬を与えてはいけない」と強調している。今回の猫は飼い主がすぐに病院に連れてきたため一命を取り留めた。同病院は経過報告として「飼い主は猫を本当に大事にしていた、知識がなかっただけ。説明しているとき泣きそうな顔をしていた」と投稿し、責めるのではなく啓発を目的としていることを伝えている。バンコク・チェンマイなどには日本語対応の動物病院もあるため、タイ語が苦手でも相談先を一つ確保しておきたい。