タイの婦人科系Facebookページ「ガイモージム(近くの婦人科医)」が、タイ国内でシミ取り・美肌薬として広がっている「トラネキサム酸」の自己購入と長期服用の危険性を警告した。本来は止血用の処方薬で、不適切に使うと血栓塞栓のリスクが上昇し、命に関わる可能性がある。喫煙者、ピル服用者、高齢者などは特に注意が必要だ。
美肌・シミ取り薬として広がるトラネキサム酸、本来は止血薬
警告を発したのは婦人科系の人気Facebookページ「ガイモージム」だ。投稿によると、「シミを薄くする」「肌を白くする」とSNSのレビューで広がっているトラネキサム酸(Tranexamic Acid)は、本来は医師が「生理出血が異常に多い」「手術後の出血を止めたい」といった止血目的で処方する薬だという。それが近年、美容効果を謳う形でLINE通販やSNSで自己購入される事例が急増している。
血液凝固系に影響、不適切使用で血栓塞栓のリスク
トラネキサム酸の薬理作用は血液の凝固系に介入することにある。止血効果が必要な人には有効だが、健康な人が長期間自己判断で服用すると、本来発生しないはずの血栓が形成され、肺塞栓や脳梗塞、深部静脈血栓症(DVT)といった重篤な疾患の引き金になりうる。「ビタミンと同じように毎日飲む」「シミに効く」と気軽に長期服用するのが最も危険なパターンだ。
高リスク群は喫煙・ピル服用・高齢・血管疾患・血栓既往
特に血栓リスクが高い人として、警告投稿は以下を列挙している。喫煙者、避妊用ピル服用者、加齢が進んだ人、血管疾患の既往がある人、過去に血栓症や肺塞栓を経験した人だ。これらの人がトラネキサム酸を自己判断で長期服用すると、ふくらはぎの痛み、胸の痛み、息切れといった血栓塞栓の前駆症状が出る危険性が高まる。婦人科医は「症状が出たら直ちに服用を中止し、緊急で医療機関を受診すべき」と指摘している。
在タイ日本人女性にも警告、自己判断によるタイ医薬品購入のリスク
タイのドラッグストアでは多くの薬が処方箋なしで購入できるため、「自己判断+低価格」で長期服用に陥りやすい環境がある。在タイ日本人女性駐在員家庭でも、肌のトラブルでタイの薬局に立ち寄り、店員に勧められるまま薬を購入する場面はある。トラネキサム酸はタイで広く流通しているが、「美肌目的での自己服用は本来の用途ではない」「血栓のリスクをゼロにできない」という点は知っておきたい。バンコクの大手病院(バムルンラート、サミティベート、BNHなど)の皮膚科では日本語対応もあり、シミ取りなら適切な処方を受けられる。