タイのフードデリバリー業界で、配達員に対して客が「料理代を半額負担してほしい」と要求する場面の動画が5月8日にSNSで拡散し、注目を集めている。配達員は「規則にない」と困惑しながら抵抗したが、客は「私の提案だから」と主張を続けた。配達員に対するハラスメントの実態を示す事案として議論を呼んでいる。
5月8日、Facebookページ「ソー・パオ - この件は気にかけて」が動画を投稿した。配達員が注文された料理を女性客の自宅に届けたところ、玄関先で「料理代の半分をあなたが負担してください」と切り出された。数分間の押し問答が続き、配達員が「私が何か悪いことをしましたか?」と繰り返し問い返す場面が映っている。
客の言い分はこうだ。「注文した時、店のシステム上では既に『料理準備中』になっていたのに、店に電話したら『混んでいる』としか言われなかった。配達員さんはなぜ店が忙しいと先に教えてくれなかったのか」。配達員は「私には店の混雑状況はわからない、ただ指定場所で待つだけだ」と反論した。客はさらに「ポリシー違反です」と語気を強め、フードデリバリーアプリのキャンセル待ち状況を根拠として料理代の半額負担を求めた。
配達員は「料理代の半分を払う規則はありません」と明確に否定した。客は「これは会社の規則ではなく、私の提案です。システム上でキャンセル申請を出したけれど、まだ承認されていない」と続けた。事実上、自分のシステム上のキャンセルが間に合わなかった責任を、現場に出向いた配達員に転嫁しようとする構図だ。配達員は最終的に折れることなく、料理代金は全額が配達員側で立て替える形のまま客が受け取った。
タイのフードデリバリー(Grab Food・LINE MAN・foodpanda・Robinhoodなど)市場は急拡大したが、配達員1件あたりの報酬は数十バーツ程度に抑えられており、立て替えキャンセルや料理破棄1件で配達員の手取りが大きく削れる仕組みになっている。客側にも「キャンセル申請したのに料理が届いた」というシステム上のフラストレーションはあるが、それを配達員個人に転嫁することは筋違いだ。在タイ日本人がフードデリバリーを利用する際、トラブル時はアプリ内のサポートチャットで対応するのが基本で、配達員に金銭負担を求めることは絶対に避けるべきだ。
