日本人観光客に人気のカオヤイ国立公園で、野生の象1頭が深刻な負傷を負い、獣医チームが救助に入った。「プラーイ・ジャーヨン」と名付けられた野生象は、尾の切断、左耳の切断、首と顔の複数の傷を負い、獣医がバナナに薬を仕込んで投与する特殊な治療が続いている。4月16日から始まった救助作戦が難航した経緯も明らかになった。
Khaosodによると、救助活動の責任者はプラチンブリ県第1保護地域管理事務局のヨタワット・ティアンサワット局長である。カオヤイ国立公園長チャイヤー・フアイホントーン氏からの報告を受け、野生獣医のナラチップ・ウォラワッタナタム氏が現地入りして治療にあたっている。
最初の発見は4月16日だった。プラーイ・ジャーヨンの尾の先端が切断されているとの報告を受け、獣医チームが評価に向かった。ただし4月17日の追跡では象を発見できず、公園職員が薬を準備して待機する状態が続いた。
4月19日にようやくプラーイ・ジャーヨンの居場所が特定され、治療1日目が実施された。傷は想像以上に深刻だった。尾の先端切断に加え、左耳が切断されており、首と顔にも複数の傷跡が確認された。いずれも他の象との衝突や噛みつきによる傷とみられる。
治療方法は野生象ならではの工夫が必要である。麻酔をかけて処置するのは体への負担が大きく、逆効果になる可能性もある。獣医チームは「抗生物質40錠と鎮痛剤20錠をバナナに詰めて食べさせる」という経口投与を選んだ。飼育されていない野生象に対する基本的な治療法である。
プラーイ・ジャーヨンの由来は「象使いを先導する雄象」の意味で、カオヤイ国立公園で数多く見られる野生象群の中でも注目される個体である。名前付きの象は長年の観察で個体識別が確立しており、動物保護関係者にとって特別な存在だ。
カオヤイ国立公園はバンコクから車で3時間、日本人観光客にも定番の自然観光地である。野生象の群れ、滝、トレッキングルート、ワイン畑などの観光資源が豊富で、週末旅行先として人気が高い。象との距離が近く、保護活動の現場を間近で意識できる場所でもある。
獣医チームは今後も継続して経過を観察する方針である。野生象の治癒能力は高いが、感染症リスクと再発の可能性も残る。プラーイ・ジャーヨンの回復は、カオヤイ国立公園の野生動物管理体制の試金石として注目される。
在タイ日本人でカオヤイを訪問する場合は、野生動物との適切な距離を保ち、ガイドの指示に従うことが基本である。負傷した動物を見かけた場合は園内の保護スタッフに報告するのが、野生動物保護への貢献になる。