チェンマイ大学工学部の准教授が交際していた女性を暴行した事件が、SNSで告発されて大きな波紋を呼んでいる。被害女性は身体を脱がされて家の外に引きずり出された上で殴打されたと訴え、慰謝料30万バーツのうち支払われたのは1万バーツのみだ。大学は調査委員会を設置したが、被害者への対応と教員の処分が焦点となる。
Khaosodによると、被害女性はチェンマイ大学の学生・教員のコミュニティグループ「ルークチャーン・マチョー(チーワンの子、チェンマイ大の愛称)」のFacebookグループに、自らの被害を投稿した。具体的で生々しい記述で、SNSでの拡散が急速に広がった。
暴行の経緯は「恋人としての関係の中で起きた」と女性は説明する。准教授は飲酒、賭博、カラオケ通いの習慣があり、被害女性がそれを彼の姉に伝えたところ、准教授が激怒した。外出から帰ると女性を殴打し、服を脱がせて家の外へ引きずり出し、屋外で暴力を続けた。
被害後の対応も問題視される。女性は負傷した状態で家の中に1日放置されたが、准教授は「何事もなかったかのように普通に食事をしていた」という。医療機関への搬送もなく、被害者が自力で回復を待つ状態が続いた。
法的対応では、女性が事件を警察に届け出て、准教授は慰謝料30万バーツの支払いに合意した。ただし支払い実態は最初の1万バーツのみで、その後は月5,000バーツの分割支払いを1回行っただけである。逆に「ネット料金がない」「食費がない」と1,000バーツを借りようとする展開もあった。
チェンマイ大学工学部は事件を受けて声明を出し、調査委員会を設置した。大学の倫理規定違反と、暴行罪としての刑事責任の両面で審議が進む見通しである。タイの大学教員の処分は通常時間がかかり、被害者の権利保護と迅速な対応が課題となる。
タイでの交際相手への暴力事件はSNSで告発されるケースが増えている。被害者の勇気ある発信が加害者の社会的制裁を促す流れが、ようやく定着しつつある段階だ。大学教員という社会的地位の高い加害者の責任追及は、今後の類似事件にも影響を与える。
在タイ日本人の大学生や研究者にとっても、タイの高等教育機関での不適切な行為に対する対応体制は重要な関心事である。被害に遭った場合の通報経路、大学当局への申立手続き、法的な救済手段の整備は、留学生活の安全を守る基盤となる。