タイ北部の河川を汚染するミャンマー側鉱山排水問題に対し、オーストラリアが国際支援に乗り出した。タイ環境省公害管理局(PCD)が4月20日に発表した。豪大使館と連携協議を行い、Australian Water Partnership(AWP)との共同プログラム立ち上げが視野に入る。
Khaosodによると、PCDスリンター・ウォラキッタムロン長官が発表した。タイ政府は「ミャンマーの鉱山排水が国境を越えて流入する問題」を重要課題と位置づけ、以下の河川で水質監視と対策を進めている。メーコック川、サーイ川、ルアック川、メコン川、サラヴィン川、クラブリー川の6河川である。
対策の3本柱は「上流での排出源対策」「国際交渉」「複数国との連携」である。タイ単独では排出源を止める手段がないため、国際協力の枠組み構築が実務の肝となる。オーストラリアはインド太平洋の水資源問題で長年の実績を持つ国として、支援相手に選ばれた形だ。
会議にはPCD側と、豪大使館のシベッラ・スターン一等書記官、ラタマニー上級プロジェクトマネジャー(開発部門)、環境省外務部代表が参加した。Australian Water Partnership(AWP)は豪政府系のオペレーション機関で、アジア太平洋の水政策・技術移転を担っている。
メーコック川を含む北部河川の汚染は、4月17日にヒ素基準値の9倍検出、4月20日にメージョー大学専門家が「空の川になる」と警告した経緯がある。土砂から検出された重金属はヒ素、水銀、カドミウムで、底生生物から食物連鎖全体への影響が懸念されている。
汚染源は中国資本が関与するミャンマー側ワ州連合軍(UWSA)支配地域の鉱山とみられる。タイ単独での交渉は難しく、メコン川委員会(MRC)も沈黙を続ける中で、豪州の参画は打開策の一つとなる。
在タイ日本人にとっても、北部・東北部でメコン川流域の魚を食べる機会がある場合の健康リスクは継続する。豪州の支援で技術支援と調査精度が上がれば、リスク評価の精度も向上する見通しである。
5月以降、豪州と共同で排水分析・河川監視・住民影響評価のプログラムが段階的に立ち上がる予定で、タイの環境外交の新たな展開として注目される。