チェンマイ市内の世界遺産級の名刹、ワット・チェディールアン(วัดเจดีย์หลวง)で2026年4月16日夕方、境内の大木が突然枝を折って倒れた。その枝が近くの高圧電線に引っかかり、電柱が倒壊してショートを起こした。駐車中の車両も被害を受けたが、人的被害はなかった。木の樹齢は226年とされ、寺院は「謝罪の儀式(พิธีขอขมา)」の準備に入った。
倒れた木の正体
折れた巨木はヤンナー(ยางนา、Dipterocarpus alatus)という東南アジア原産の大木だ。同種は熱帯の密林で樹高30〜40メートルにまで育つ。ワット・チェディールアンの境内に植えられたものは、タイ北部の「ランナー王国」末期のカーウィラ王(พระเจ้ากาวิละ)が植えたと伝えられており、チェンマイ市の「都市の柱(เสาหลักเมือง)」とともに並んで立ってきた由緒ある木だ。
寺院の警備員は「倒れる直前、風は全く吹いていなかった。まったくの無風の夕暮れに、バキッという音とともに枝が折れた」と証言した。
タイミングの神秘
事件が起きたのは4月16日だった。これはタイの伝統的な「ランナー暦の元旦」にあたる「パーク・ピー(ปากปี๋)」の日と重なる。チェンマイを含む北部タイで伝統的に使われるランナー暦では、この日が1年の始まりにあたる特別な日だ。
「聖なる日に大木が倒れた」という事実が地元住民の間で「何らかの霊的なシグナルではないか」という話題を呼んだ。寺院側も「木には長年の霊が宿っている」として、単なる自然現象以上の意味を感じているとした。
謝罪の儀式の準備
ワット・チェディールアンの住職は「木の霊(木の守護神)への謝罪と感謝の儀式を行う準備を進めている」と述べた。タイの民間信仰では、大木には霊が宿るとされており、切り倒したり損傷させた場合には儀式で許しを請う慣習がある。寺院によっては具体的な供物と僧侶の読経を伴う正式な儀式が行われる。
ワット・チェディールアンについて
同寺院はチェンマイ市内旧市街の中心部にある名刹で、15世紀のランナー王朝時代に建立された大仏塔(チェディー)で知られる。現在も多くの仏教儀式が行われる現役の寺院で、チェンマイを訪れる外国人観光客にも人気が高い。「夕暮れのウィハーンでの公開相談(Monk Chat)」でも有名だ。