タイ国会で合同審議が行われていた4月10日の正午過ぎ、出入り禁止の「要警戒人物」に指定されていた高齢の男性が議事堂の中枢部にまで侵入し、警備体制のずさんさが改めて浮き彫りとなった。
侵入したのはポンピチャーンと名乗る高齢の身体障害者の男性である。タクシー運転手の制服にヘルメット姿で現れた同氏は、過去にもバイクで警察の検問を突破して首相府(タイクーファー)に乗り込んだ前歴がある。複数の政党本部でも騒ぎを起こしており、国会の各出入口にはすでに写真付きで「立入禁止人物」の掲示がなされていた。
にもかかわらず、同氏は10日昼に再び国会議事堂への侵入に成功した。建物の中心部にあるエメラルド池のほとりまでたどり着き、ソポン・サラーム下院議長から手紙が届いたと大声で主張したという。さらに自分はプームジャイタイ党の終身党員だとも名乗り、周囲は一時騒然となった。
最終的に国会警察が同氏の身柄を確保し、事態は収拾された。しかし、写真入りの警告掲示まで出していたにもかかわらず侵入を許した事実は、国会議事堂の警備に重大な穴があることを示している。合同審議中という最も警備が厳重であるべき時間帯の出来事だけに、セキュリティ体制の見直しを求める声が上がるのは必至である。
同氏は以前から政府関連施設への無断侵入を繰り返しており、首相府や政党本部など複数の拠点で問題を起こしてきた。今回で何度目の侵入かは明らかにされていないが、看板による警告だけでは実効性がないことが証明された形である。タイ国会の物理的な安全管理のあり方が問われている。