サムットプラカーン県で宅配ドライバーの男性が自宅のトイレで用を足している最中に外から発砲され、搬送先の病院で死亡が確認された。犯人は犯行直後にロングテール船で河川を越えて逃走し、使用した拳銃を川に投棄した。
事件の特異な点は複数ある。まず「トイレで用を足している最中」という被害者が最も無防備な時間と場所を狙った犯行であること。次に「ロングテール船で逃走」という手段は、サムットプラカーン県の川沿い地域の地理的特性を活かした計画的な逃走経路であることだ。拳銃を川に投棄したのも証拠隠滅を意図したものとみられる。
被害者が宅配ドライバーという職業から、トラブルの背景として配達先とのもめ事や個人的な恨みが当初から疑われた。タイでは宅配員が荷物の紛失・破損をめぐるトラブルを抱えるケースがあるほか、見知らぬ人の自宅や企業に頻繁に出入りする職業上の特性から、思わぬ接点でトラブルに巻き込まれることがある。
捜査を開始した地元警察が発砲音と目撃情報をもとに追跡を始めたところ、事件から間もなく容疑者の男が自ら警察署に出頭した。男は取り調べに対し「被害者との間に個人的な恨みがあった」と供述したとされる。自首という行動は量刑に影響する可能性があるが、殺人罪の訴追は免れない。
タイでは銃器犯罪は日本と比べて頻繁に発生する。拳銃の不法所持は問題となっているが、農村部や地方では密輸銃器の流通が続いており、個人的なトラブルが銃器使用に発展するケースが後を絶たない。今回の事件は計画的な犯行と判断される可能性が高く、重い刑事責任が問われる。