国民党(プラチャーチョン党)のニチャナン・ワンカハード下院議員が自身のSNSで、タイ海軍の訓練方法について疑問を投げかけた。問題にしたのは、訓練生が上半身裸で真夏に熱せられた軍艦の甲板(鉄板)に胸を押し当てる伝統的な鍛錬法だ。
ニチャナン議員は「この訓練は今も必要なのか」「まだ続いているのか」と端的に問いかけ、写真を添えて投稿した。写真は炎天下の艦艇甲板で上半身裸の訓練生が胸を鉄板に押し付けている様子を映しており、見る者に「これは虐待ではないか」という疑問を抱かせる内容だった。投稿はSNSで急拡散し、国会関係者や一般市民から多くのコメントが寄せられた。
こうした訓練はタイ海軍において「忍耐力と精神力を鍛える」という目的で行われてきた伝統的な慣行だ。高温の金属に素肌を押し当て、痛みに耐えることで精神的な強さを養うという考え方は、一部の軍・警察・格闘技訓練では世界的にも存在する。しかしこれを「時代遅れ」「ハラスメントまたは拷問に近い」と見る意見も根強くある。
タイ軍内部のしごき・体罰的な訓練慣行は過去にも問題視されており、訓練中の死者や重傷者が出たとして軍の体質への批判が高まった事例もある。デジタル化・人権意識の高まりが進む現代において、こうした訓練が軍の教育として妥当かどうかを問い直す声が、特に若い世代の国会議員から上がっている点は注目に値する。
タイ海軍は本件についてのコメントを公表していない。ニチャナン議員の問いかけが制度的な見直しにつながるかどうかは、今後の国会審議の動向次第だ。