台湾出身の伝説的歌手テレサ・テン(鄧麗君)が1995年5月8日にチェンマイのホテルで死去してから、今年で31年が経過した。その最期をめぐり、元執事を名乗るタイ人男性が「チェンマイ市内の渋滞が治療への到着を遅らせた」という証言を改めて語り、注目を集めている。
男性によると、テレサ・テンに急激な容体の変化が起きた際、チェンマイ市内は激しい渋滞に見舞われており、医療チームが迅速に到着できなかったという。渋滞が救命の機会を奪った可能性があるとの見方を示した。テレサ・テンはチェンマイのインペリアル・メーピン・ホテルで休暇を過ごしており、42歳という若さで急死した。公式の死因は気管支喘息発作による急性呼吸不全とされている。
テレサ・テンは1970年代から90年代にかけて、台湾・香港・日本・東南アジアを席巻した歌手だ。「つぐない」「時の流れに身をまかせ」「愛人」といった日本語曲でも知られ、NHK紅白歌合戦への出演経験も持つ。その澄んだ歌声はアジア全土で愛され、現在も「永遠のアイドル」として語り継がれている。
チェンマイはテレサ・テンにとって度々訪れたお気に入りの地だったとされており、地元にはテレサを偲ぶファンが今も訪れる。彼女の突然の死はタイのエンタメ史にも深く刻まれており、タイ人の間でも「チェンマイで亡くなった大スター」として記憶されている。
死後30年以上が経った今もなお新たな証言が出てくること自体、テレサ・テンという歌手の存在がいかに多くの人々の記憶と感情に深く刻まれているかを物語っている。渋滞が死を早めたかどうかは検証不可能だが、「もし迅速な医療が届いていたら」という問いかけは、彼女を愛した人々の胸の中に今も生き続けている。