ソンクラー県ハートヤイ市のガソリンスタンド(店名:ガンカーンヤー)で2026年4月6日午後2時42分、白いメルセデス・ベンツを運転してきた女性が1000バーツ分のガソリン95を給油したあと支払いをせず、偽造QRコードを見せてその場から逃走した。スタンドの23歳男性店員ティーラポン(苗字非公表)がこの事実を公表し、「返しに来なければ3日間タダ働きになる」と訴えた。
事件当時、女性は外見的に整った30〜35歳ほどの容貌で、給油後に「銀行振込スリップを確認させてほしい」という旨を示し、偽造または無効なQRコードを見せた後、素早く車を走らせて立ち去った。CCTVに車のナンバープレートが映っており、警察に被害届が提出された。
この手口は「QRスキップ」または「スリップ詐欺」と呼ばれるもので、タイ全国で多発している。2023〜2026年にかけて、飲食店・ガソリンスタンド・コンビニで同様の手口による詐欺が報告されており、タイ警察サイバー犯罪対策部は注意を呼びかけ続けている。偽造スリップはグラフィックアプリで簡単に作成できるため、店員が目視だけで本物と見分けるのは難しい。
対策として、タイ大手銀行はリアルタイムの振込照会URLをQRコードに埋め込んだシステムを提供しているが、中小の店舗では確認機能を導入していないところも多い。ガソリンスタンドではプリペイド式またはクレジットカードのみを受け付けるキャッシュレス化が進んでいる大手チェーンもあるが、中小スタンドでは現金・振込混在が依然として多い。
白いメルセデスに乗った女性という特徴からSNSでの情報提供が呼びかけられ、投稿は急拡散した。同様の被害にあった他のスタンド業者からも「うちにも来た」という声が上がり、常習的な犯行であると見られている。タイ消費者保護機関(สคบ.)はこうした詐欺の被害者が泣き寝入りしやすい現状を問題視しており、取引履歴の自動証跡保存を義務化する方向での法整備を検討している。