2026年4月4日午前11時半ごろ、ミャンマー国軍とカレン民族同盟(KNU)の交戦で使用された自爆ドローン(คาวิกาเซ)1機が、タイ側のターク県メーソート郡に越境して落下した。タイ陸軍第3地域軍・第4師団がこの事実を確認し、タイ側での人的・物的被害はなかったと発表した。
ドローン越境の経緯
この日、ミャンマー国軍の第22軽歩兵大隊(東南部地域司令部)とKNU勢力がメーソート対岸のマハワン地区周辺で激しく衝突していた。戦闘では重火器と小火器に加え、ドローンによる攻撃も行われていた。その1機がタイ側に落下した。
タイ陸軍の声明では「落下したドローンはすでに攻撃機能を失った状態だった」とした。現場には陸軍が急行し、周辺を封鎖して安全確認を実施した。
メーソートの戦略的位置
メーソートはターク県の国境の町で、タイとミャンマーを結ぶメイテンコン友好橋(第1橋・第2橋)の拠点だ。ミャンマー内戦の激化以降、カレン州での戦闘が頻発しており、越境被弾や避難民の流入が繰り返し起きている。
2021年のクーデター以降、メーソートにはミャンマー国内から逃れた市民や少数民族が多数流れ込んでいる。国際赤十字委員会(ICRC)やNGOが援助活動を行うほか、タイ陸軍も人道的支援に携わっている。
カミカゼドローンと現代の内戦
カミカゼドローン(自爆型UAV)はウクライナ紛争で広く使用されるようになったが、ミャンマー内戦でも2023年頃から国軍と民族武装組織(EAOs)の双方が使用するようになった。既製のコンシューマー向けドローンに爆発物を取り付けた簡易型から、中国・イラン・ロシア製の軍用型まで多様だ。
このドローン戦術が国境近くで使用されるようになると、タイ側への誤落下リスクが生まれる。今回はタイ側に実害がなかったが、国際的なルールがほとんど存在しない中で「民間地域への誤爆」や「中立国への越境」が繰り返されると、外交問題に発展する。
タイ外務省はミャンマー大使を呼んで「あらゆる戦闘においてタイ領内への影響がないよう求める」という外交的申し入れを行った。