タイ証券取引委員会(SEC)が2026年4月、証券市場と暗号資産市場から「グレーキャピタル(闇資金)」と「名義貸し口座(ノミニー)」を一掃するための5つの新措置を発表した。国家的課題として位置づけ、取り締まりを強化する方針だ。
5つの新措置の概要
SECが発表した5措置の柱は次のとおりだ。第1に証券口座の名義確認強化で、実質的な所有者(UBO: Ultimate Beneficial Owner)の特定義務を強化する。第2に証券会社・暗号資産取引所への報告義務の厳格化で、疑わしい取引の届け出を徹底させる。第3に違反業者への行政処分の迅速化だ。第4に金融情報機関(AMLO)との情報共有強化で、マネーロンダリング対策と連携する。第5に外国からの資金流入に関する透明性向上だ。
「グレーキャピタル」とは
タイの資本市場では、出所不明の資金が証券・不動産・暗号資産に流入していることが長年問題視されてきた。こうした資金は「グレーキャピタル(ทุนเทา)」と呼ばれ、マネーロンダリングや脱税、腐敗資金の隠匿に使われることがある。
とくに暗号資産分野では追跡が難しいため、グレーキャピタルの流入口として機能しているとの懸念がある。SECとタイ中銀(BOT)は2023年から暗号資産のKYC(顧客確認)基準を強化してきた。
名義貸し口座問題
他人の名前を借りて証券口座を開設・運用する「名義貸し(bam chee ma)」は、タイの証券市場で長年蔓延してきた慣行だ。実際の取引者が表に出ないため、相場操縦や内部情報取引に利用されることがある。
日本でも株式の名義貸しは金融商品取引法で禁止されているが、タイでは違反への摘発が従来は軽微だったとされる。今回の措置で罰則強化と摘発体制の整備が進む見通しだ。