タイ南部トゥンサレー国立公園(タブラン国立公園と隣接)で、野生の象が罠にかかったメスのガウル(野牛)を助けようとする場面が森林保護官に目撃された。保護官が急行して救助を試みたが、ガウルはすでに衰弱しきっており、力尽きて死亡した。
現場に残された記録によると、象はガウルの周囲を歩き回り、鼻でガウルの体を繰り返し押すような動作をしていた。密猟者が仕掛けたとみられるワイヤー製の罠にガウルの足が絡まっており、動けない状態だった。象が何度もガウルに触れて助けようとする行動は、保護官らに強い印象を残した。
象は知能が高く、社会性に富む動物として知られている。群れの中で死んだ仲間を悼む行動は記録されており、他の種の動物への共感的な行動も稀に観察されることがある。ただし今回のように、明らかに異種の動物を救助しようとした例は研究者の間でも注目に値するとされている。
密猟者が設置した罠はタイの野生動物にとって深刻な脅威だ。ガウルは在タイの森林に生息する大型の野生牛で、成体は体重が800キロを超えることもある。世界自然保護連合(IUCN)はガウルを「危急種(VU)」に分類しており、生息地の減少と密猟圧力が課題となっている。
タイの国立公園では密猟防止のためのパトロールを強化しているが、広大な森林に張り巡らされた罠を全て除去することは困難な状況にある。今回の悲劇は、密猟行為がいかに多くの動物の命を奪うかを改めて示している。保護官はガウルの遺体を回収し、罠を撤去した。
