ミャンマーとの国境に面するタイのメーソート(ターク県)で2026年3月、ミャンマー側から着弾した銃弾によりタイ国内で負傷者が発生した。タイ軍は警告射撃4発で応答し、国境地帯の緊張が高まった。
事案は越境銃撃という形で発生した。ミャンマー軍とカレン族武装組織(カレン民族同盟・KNU系)などの武装勢力間の戦闘が国境地帯で起きており、流れ弾がタイ側に着弾したとみられる。タイ軍は「意図的な攻撃ではなく誤射の可能性が高い」と判断しながらも、領域侵犯として厳重に抗議した。
メーソートはミャンマーとの経済往来が活発な国境都市で、タイ・ミャンマー友好橋を経由した人・物の流れが多い。タイ側には移民労働者・難民・貿易業者が集まっており、市街地が国境に近い構造から流れ弾リスクは深刻な問題だ。
ミャンマーの内戦は2021年のクーデター以降悪化し、国境地帯での戦闘が続いている。国境を超えて着弾する事案は2022年以降から繰り返し報告されており、タイはミャンマー政府(SAC)と武装勢力双方に自制を求める外交ルートを維持している。しかし内戦が長期化する中で実効的な管理は難しい。
タイ政府は国境地帯の住民に対し、砲声・銃声が聞こえた場合は屋内への避難と当局への通報を呼びかけている。メーソートでは一部の住民が自主的に距離のある地区に避難するケースも報告されている。
ミャンマーからの影響はタイ経済にも波及しており、メーソートを拠点とする縫製・農産物・建材の輸出入業者が事業リスクの増大を訴えている。特別経済区(SEZ)の開発計画も内戦の長期化で先行き不透明な状況だ。


