シーサケート県パユ郡ノンペック地区バーンサーンワー村で3月28日午後6時30分頃、夏の嵐が複数の村を直撃し、住宅の壁が崩壊した。この事故で寝たきり状態だった78歳の男性が壁の下敷きになり死亡した。男性はがんを患い、自力での移動が困難な状態だった。
嵐は突然やってきた。強風が住宅を直撃し、コンクリートブロック製の壁が内側に倒れ込んだ。78歳のルアン・ヤウワンディー氏は親族のナワラット氏とともに同じ家に住んでいたが、就寝中に壁の倒壊が直撃した。報告を受けた郡長や村長らが現場に急行し、男性を救出して病院に搬送したが、搬送先で死亡が確認された。
同じシーサケート県では同日、クカン郡でも嵐による被害が報告されていた。市場前に設置されていた巨大アーチが道路に崩落し、住宅の屋根が飛散する被害が出た。バーンサーンワー村だけで10棟以上の住宅が被害を受け、周辺地域でも調査が続いた。
タイ気象庁は3月から5月にかけての暑季に「サマーストーム(พายุฤดูร้อน)」に最大限の警戒を呼びかけている。特に午後から夜にかけて雷雨と突風が急発生しやすく、農村部では古い住宅の壁やトタン屋根が突風に耐えられないケースが多い。タイ北部・東北部の農村では木材やブロック積みの簡易住宅が多く、耐風設計が施されていない建物が大半だ。
高齢者や病人など自力で避難できない住民が被害に遭うケースは毎年繰り返される。タイ災害防止軽減局のデータによれば、暑季の嵐による死者は年間数十人規模に上り、家屋損壊は数千棟に及ぶ。嵐が来る直前の短時間で避難行動を取ることが生死を分けるが、寝たきりの患者や独居老人への対策は農村部では追いついていない。
シーサケート県はタイ東北部コラート高原の南部に位置する農業県で、人口は約140万人。年間を通じて農業従事者が多く、高齢化率が高い農村地帯が広がる。今回の被害は、老朽化した住宅ストックと気候変動による気象の激化という二重の課題を浮き彫りにした。