タイ証券大手アジア・プラス証券は2026年3月下旬、中東情勢の長期化を受けて原油が1バレル150ドルに達する可能性があるとして、投資家に対してポートフォリオの30〜50%を現金で保持するよう推奨した。さらに戦争長期化局面で相対的に強いとされる銘柄9種の段階的積み増しを提案した。
推奨の背景
ドナルド・トランプ大統領がイランへの攻撃期限を10日間延長したことで、米国・イラン間の緊張が一時的に和らぐかに見えたが、アジア・プラスは「戦争が長期化するシナリオがメインシナリオ」と分析した。中東紛争が拡大すれば、ホルムズ海峡の通航が制限され原油供給が逼迫する。原油150ドルはその際のリスクシナリオだ。
当時のブレント原油はすでに70〜80ドル台から急騰して100ドルを超える水準にあり、さらに5割増しの可能性を提示する内容は市場に衝撃を与えた。
推奨9銘柄と選定理由
推奨9銘柄はTFG(タイ・フーズ・グループ)、GFPT(鶏肉生産)、SPRC(石油精製)、BANPU(石炭・再エネ)、PTTEP(石油・ガス探鉱)、BCP(バンチャック石油)、CPF(食品大手CPグループ傘下)、OR(PTT石油小売)、IVL(化学繊維)だ。
SPRCやBCP、PTTEP・ORなどエネルギー関連は原油高騰で精製・販売マージンが拡大する。食品系(TFG・GFPT・CPF)はインフレ下でも需要が安定するディフェンシブ銘柄として選ばれた。IVLは石油由来製品の値上がり局面での在庫評価益を狙う。
現金30〜50%の意味
通常のリスクオン相場では現金は機会損失だが、戦争・地政学リスクが高まる局面では現金比率を上げることで下落リスクを抑える。アジア・プラスのアドバイスは、一度に全力投資せず価格が下落した際に強い銘柄を段階的に拾うという「ドルコスト平均法的」な発想に基づいている。
日本でも2022年のロシア・ウクライナ戦争勃発時に同様の「現金比率引き上げ・エネルギー株積み増し」の推奨が広まったが、実際にはエネルギー株が半年以上上昇した。今回のタイ市場でも、同様のパターンが繰り返されるかが注目された。