バンコク・バンケーン地区ワチャラポル交差点付近で3月28日午前2時ごろ、電気自動車(EV)が赤信号で停車中のバイクに後方から衝突し、バイクの同乗者の女性が死亡した。EVを運転していた男性は「すみません、居眠りしてしまいました」と現場で謝罪した。
タイ語メディアの報道によると、EVは赤信号を無視してバイクに突っ込み、バイクは前方に弾き飛ばされた。同乗していた女性はその場で意識を失い、搬送先の病院で死亡が確認された。バイクを運転していた男性は重傷を負った。EVの男性はバンケーン警察署に出頭し、居眠り運転だったことを認めた。
EVが居眠り運転の誘因になりやすいという指摘は以前からある。ガソリン車と異なりエンジン音がほとんどなく、変速ショックも発生しないため、長時間の運転で眠気を感じにくい。アクセルを踏み続けても違和感が生じにくく、気づいた時には高速で障害物に近づいているケースがある。今回の事故でも午前2時という深夜帯に、単独運転者が長時間走行していたとみられる。
タイではEV普及が急速に進んでいる。バンコク・モーターショー2026でのEV展示が過去最大規模となり、燃料危機を機に乗り換えを検討する層が増えている。しかしEVを取り巻く交通安全に関する議論は追いついていない。ABS(アンチロックブレーキシステム)や前方衝突警告装置を標準装備しているEVモデルは多いが、運転者の眠気を検知する機能を持つ車種はまだ限られている。
タイの交通事故死亡率はWHOの統計で人口10万人あたり約32人と、日本(約2.7人)の約12倍だ。深夜の居眠り運転による重大事故は毎年数百件規模で発生している。今回の事故はEV特有のリスクを含む事例として、交通安全当局の注目を集めている。